クラウドでは社内ネットワークや統制要件を満たせず、セルフホストを検討中ですか。 まずはクラウドを要件表で判定してください。不足が実証された場合だけセルフホストを評価し、Xcodeを動かすならmacOS対応を公式に確認してから実機検証に進みます。
企業IT責任者:ネットワーク、データ境界、運用責任を確認したい方。 プラットフォームエンジニア:Runnerの保守や容量計画を担う方。 Appleプラットフォーム責任者:Xcode、署名、Mac CIの実行環境を決める方。
最終更新:2026年9月25日。公開テストの状態、利用資格、Runnerの対応環境は公式発表とセルフホスト環境の公式ドキュメントを確認対象にしています。
Claude Codeのセルフホスト環境を選ぶ前に実行場所を分ける
「自社のRunnerを使う」「クラウドで使う」「手元のマシンのセッションを遠隔操作する」は、同じ方式ではありません。実行場所と保守担当を混同すると、社内ネットワークにつながることだけを根拠に、データ全体が組織内に留まると誤認するおそれがあります。
| 方式 | セッションの実行場所・責任 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| クラウド実行 | 提供側の管理環境を利用します。運用負担を抑えやすい一方、ネットワークや統制の要件との適合確認が必要です。 | クラウドで要件を満たせるなら優先 |
| セルフホストRunner | 自社管理の計算環境で実行し、Runnerや実行環境の保守も自社側が担います。 | 社内接続や管理要件が明確な場合に検討 |
| Remote Control | 個人が使用しているマシン上のセッションを遠隔操作します。チーム共有のRunnerとして扱う方式ではありません。 | 個人の作業セッションを継続したい場合 |
公式発表で確認できる導入上の条件は、少なくとも次の3点です。公開テストとして案内されていること、TeamおよびEnterprise組織向けであること、既定では無効であり、ZDRを利用する組織には提供されないことです。加えて、公式は多くの企業にマネージド方式を優先するよう案内しています。調達時には資格や提供状態の変更がないか、発表と最新ドキュメントを再確認してください。
Remote Controlは手元のセッションを続ける機能であり、共有Runnerの代用ではありません。チーム共通のビルドキューや保守責任が必要なら、別の実行基盤として設計してください。
プラットフォーム担当は対応環境と保守範囲を確認する
セルフホストの発表を見て、すぐにMacやXcodeを調達するのは避けてください。自社で実行環境を持てることと、希望するOSやツールチェーンが公式にサポートされることは別の確認事項です。
試験環境を用意する前に、公式ドキュメントで対応OS、Runnerの起動方法、実行のライフサイクルを確認します。Runnerやイメージの更新、脆弱性対応、ログ監視、容量の割り当て、停止時の復旧を誰が担うかも、プラットフォームチーム内で明文化してください。本番導入向けの公式デプロイ手順は、デモに成功した後ではなく、試験設計の段階で参照します。
容量については、固定で確保するのか、必要時に割り当てるのかを決め、キュー待ちや同時実行の制約を計測します。どちらを選んでも、実行容量を調整する仕組みと障害時の責任者が必要です。ログインできたという事実だけで、継続的なCIに必要な可用性や復旧性が確認できたとは判断できません。
セキュリティ担当はデータの境界を項目ごとに追う
「セルフホストだからデータは外部に出ない」という前提を置かないでください。リポジトリの複製、生成物、認証情報が自社の実行環境に置かれる範囲と、モデル推論のために送信されるプロンプト、応答、ツール実行結果は、異なるデータ経路として調べます。
導入前に、リポジトリからRunner、モデル推論、成果物保管先までのデータフロー図を作成します。各区間にデータ分類、保存先、アクセス主体、保持期間を記入し、会話記録、組織ポリシー、保持制御、適用除外の条件をそれぞれ照合してください。企業プランのデータ保持制御に関する公式説明とZDRの対象製品に関する説明は、適用範囲を確かめる際の根拠になります。
ツール実行用の秘密情報も、会話ログやビルドログと同じ場所に保管しない設計が必要です。署名用の情報を扱う場合は、実行権限を絞り、試験用と本番用を分け、漏えい時に無効化できる手順まで確認します。
データフロー図には「自社内に残るデータ」だけでなく、推論に伴って送信される情報も記載してください。保持設定の確認だけでは、送信経路やアクセス権の検証を代替できません。
Appleプラットフォーム担当はClaude CodeとXcodeの仕事を分ける
コードの解析や編集、汎用テストと、Xcode、シミュレーター、署名を必要とする工程は、別の実行要件として整理します。前者をクラウドで処理できても、後者まで同じRunnerで実行できるとは限りません。
Appleの外部AgentによるXcodeツール利用の公式説明は、外部AgentがXcodeのツールへアクセスする連携の説明です。それだけでは、Claude CodeのセルフホストRunnerがmacOS上で動くことや、特定のXcodeビルドに対応することを証明しません。対応環境を公式に確認し、実際のプロジェクトでビルド、署名、成果物検証まで試してください。
その確認が済むまでは、MacをセルフホストRunnerの実行先とする設計を確定しないでください。Mac CIに必要な容量や実行方式を別途検討する場合は、MACGPUの日本語案内とMac構成の案内を確認できます。案内に掲載されたMacをClaude Codeの対応Runnerとみなさず、公式の対応状況と実際のパイプライン検証を調達条件にしてください。
FinOps担当は購入価格ではなく全ライフサイクルで比べる
セルフホストの費用は、ホストの料金だけでは決まりません。クラウド利用料と比較する際は、保守、監視、待機容量、障害復旧を含め、同じ稼働条件で計算します。公開価格や実測値が確認できない項目は、金額を推定せず社内見積もり欄として残します。
| 費用・責任項目 | クラウド実行 | セルフホスト |
|---|---|---|
| 実行利用料 | 公開価格または契約条件を記入 | ホスト、ストレージ、ネットワーク費を記入 |
| Runner・イメージ保守 | 契約上の提供範囲を確認 | 更新、脆弱性対応、互換性確認の工数を計上 |
| 容量と待機時間 | 利用条件、実行上限を確認 | 固定確保分、アイドル容量、増設費を計上 |
| 監視・障害対応 | 提供側と自社の担当境界を確認 | 監視、オンコール、復旧の担当工数を計上 |
| 合計の比較式 | 利用料+追加サービス費 | ホスト費+保守工数+監視費+待機容量+復旧費 |
試験導入は条件分岐と中止条件を先に決める
次の条件分岐で候補を絞り、通過した方式だけを小さく試します。最終判断の前に、技術責任者、セキュリティ担当、運用担当の承認範囲を明らかにしてください。
- クラウド環境でネットワーク、データ保持、組織の統制条件を満たせるなら、クラウドを継続します。セルフホストの保守負担を引き受ける理由が不足しています。
- 社内ネットワークや管理対象ツールへの接続が不可欠で、クラウドでは要件を満たせないなら、公式に確認されたRunner環境に限ってセルフホストを試します。
- Xcodeやシミュレーターを動かす必要があるなら、macOSと対象ツールチェーンの対応を公式に確認できるまで、本番用Macの調達を保留します。
- 署名情報の分離、ログの確認、成果物の検査、障害時の復旧担当が決まらないなら、試験を本番利用へ進めません。
よくある質問
Claude Codeのクラウド実行とセルフホストは何が違いますか?
違いは主に、セッションが実行される計算環境と、Runnerや環境を誰が保守するかです。セルフホストでも、モデル推論に使う情報の送信先や会話の記録・保持を個別に確認する必要があります。実行環境の管理とデータの保管場所を、同じ要件として扱わないでください。
企業がセルフホスト環境を検討するのはどのような場合ですか?
クラウド環境で社内ネットワークへの接続や管理対象ツールの利用、組織の統制要件を満たせない場合に検討します。導入前に不足している要件を明文化し、Runnerの更新、監視、障害対応を担当するチームも決めます。要件を満たせるなら、運用負担の少ないクラウドを優先できます。
セルフホストRunnerはmacOSに対応していますか?
自社管理のRunnerが提供されることだけでは、macOSへの対応は判断できません。導入時点の公式ドキュメントで対応OSと実行方式を確認してください。macOSが明記されていない場合は、対応を前提にせず、調達前の要件や本番構成に含めないようにします。
セルフホスト環境でXcodeのビルドは実行できますか?
Xcodeを使う工程には、macOSやXcode、シミュレーター、署名の要件があります。外部Agent向けのXcode連携資料だけでは、RunnerのmacOS対応やビルド可否は確認できません。対応環境を確認し、署名情報を分離したうえで、実際のパイプラインを端から端まで検証してください。
クラウド側で要件を満たせるなら、セルフホストのRunner更新、監視、待機容量、障害対応を追加で抱える必要はありません。一方でXcodeのためにMacが必要なら、要件に合う実機環境を選び、購入・維持に伴う調達期間、アイドル容量、故障時の復旧負担も比較してください。MACGPUのMacレンタルは、Mac上での実行環境を検討する選択肢になりますが、Claude CodeのRunner対応は別途公式確認が必要です。セルフホストの適合性と実機の要件を切り分けてから、構成を決めてください。