01_リモート起動とタスク発行の全体像
OpenClaw は個人向け AI Agent として、ローカルまたはクラウドの Mac 上で 24 時間稼働させることが可能です。本稿で扱う「リモート操作」とは、WhatsApp・Telegram・Slack のいずれかから、稼働中の OpenClaw インスタンスに対して「起動」「タスク発行」「結果の取得」を行う一連の流れを指します。開発者や運用担当者は、外出先や別デバイスからでも、同じワークフローで OpenClaw に指示を出し、50 以上の連携サービス(カレンダー、メール、ファイルストレージ、CI/CD など)を駆動できます。
02_前提条件とアーキテクチャ
リモート操作を実現するには、以下の前提を満たしておく必要がございます。(1)OpenClaw がインストールされ、必要な権限(画面・マイク・ネットワーク等)が付与された Mac が一台以上あること。(2)当該 Mac がインターネットに接続し、着信する Webhook や API リクエストを受け付けられること。MACGPU のようなクラウドベアメタル M4 ノードで OpenClaw を 24/7 稼働させる構成では、固定 IP またはドメイン+リバースプロキシを用意し、Slack や Telegram のイベントを転送するブリッジサーバーを立てるケースが一般的です。(3)各メッセージングプラットフォーム用の Bot またはアプリを作成し、トークン・署名検証を取得しておくこと。
アーキテクチャの選択肢
シンプルな構成では、Telegram Bot や Slack App が「ユーザー発言 → 自前の軽量サーバー(Node / Python 等)で受信 → OpenClaw のローカル API または CLI を叩く」形でタスクを投入します。大規模や多チャネルを統合する場合は、OpenClaw が公式またはコミュニティで提供する 50+ サービス連携のうち、Messaging 系アダプタを有効化し、一元的にメッセージをルーティングする方式を採用します。いずれにせよ、認証・認可(誰がどのタスクを実行できるか)を必ず設計し、本番では HTTPS とトークン検証を必須としてください。
03_Telegram 連携の設定手順(推奨:初回はここから)
Telegram は Bot API が分かりやすく、個人開発でも 30 分程度で疎通確認が可能です。手順は以下のとおりです。
ステップ 1:Bot の作成
Telegram 上で @BotFather を開き、/newbot を送信します。表示される指示に従い、Bot の表示名とユーザー名(例:@YourOpenClawBot)を設定してください。完了すると API トークンが発行されます。このトークンは第三者に漏らさず、環境変数やシークレット管理に格納します。
ステップ 2:Webhook または long polling の選択
本番では Webhook が推奨です。運用するサーバーの公開 URL(例:https://your-bridge.example.com/telegram)を用意し、Telegram API の setWebhook でその URL を登録します。サーバー側では、POST で送られてくる update をパースし、message.text を OpenClaw へのタスク内容として渡す処理を実装します。開発・検証段階では、long polling(getUpdates の輪詢)でも構いません。
ステップ 3:OpenClaw へのタスク投入
ブリッジサーバーがメッセージを受け取ったら、OpenClaw のローカル API または CLI を呼び出します。例として、CLI でテキストを渡す場合は次のような形です。
OpenClaw 側で「Telegram チャネル」が有効化されていれば、ここで受け取った内容を Agent の入力として処理し、結果を再度 Telegram に返すよう設定できます。返信は Telegram Bot API の sendMessage を用い、chat_id は受信した update から取得します。
04_Slack 連携の概要と Workflow Builder
Slack では、カスタムアプリを作成し、Event Subscriptions や Slash コマンドで OpenClaw と連携できます。アプリ作成は Slack API の管理画面から行い、Bot Token Scopes に chat:write、app_mentions:read、必要に応じて files:read などを追加します。イベントが発生したときに Slack が送る POST リクエストを、ご自身のブリッジサーバーで受信し、リクエスト本文の検証(署名の照合)を行ったうえで、OpenClaw にタスクを渡してください。Slack Workflow Builder を使う場合は、トリガー(キーワードやフォーム送信)でステップを定義し、外部サービスへの HTTP リクエストで OpenClaw のエンドポイントを呼び出す構成も可能です。50+ サービス連携のなかには、Slack 用のアダプタが含まれている場合がありますので、OpenClaw の公式ドキュメントで「Slack」を検索し、推奨設定を確認することをお勧めします。
05_WhatsApp 連携の注意点
WhatsApp は Meta の WhatsApp Business API を利用する必要があり、ビジネスアカウントの審査やテンプレートメッセージの承認など、初期設定に時間がかかります。Cloud API または On-Premises API のいずれかを選び、Webhook でメッセージを受信する形が一般的です。受信したメッセージを OpenClaw のタスクに変換するロジックは Telegram と同様ですが、API のレート制限やフォーマット(テキスト・画像・ボタン等)の扱いに注意してください。個人利用やプロトタイプでは、Telegram または Slack で先にワークフローを確立し、その後 WhatsApp を追加する構成が現実的です。
06_50+ サービス連携と開発ワークフロー
OpenClaw は 50 以上のサービス(カレンダー、メール、Notion、GitHub、ストレージ、CI など)と連携する能力を備えています。リモートから「明日の予定を確認して Slack にまとめて」といった自然言語のタスクを発行すると、OpenClaw が内部で該当するツールを選択し、認証情報を使って実行し、結果をメッセージアプリに返します。開発ワークフローとして推奨する流れは、(1)ローカルまたは MACGPU の M4 ノードで OpenClaw を常時起動、(2)Telegram / Slack で「起動」や「タスク」を送信、(3)OpenClaw が 50+ サービスのいずれかを呼び出して処理、(4)結果を同じチャネルで受け取る、です。認証情報は環境変数やキーチェーンに保持し、本番では最小権限の原則に従ってスコープを絞ってください。
07_セキュリティと運用のポイント
リモート操作を有効にするということは、インターネットから「タスク実行の入口」を開くことになります。必ず以下を実施してください。トークン・API キーはすべて環境変数化し、リポジトリにコミットしないこと。Webhook の署名検証を省略しないこと。Slack は X-Slack-Signature、Telegram は現状署名なしですが、IP 制限やトークンの厳重管理で補完すること。OpenClaw が実行するタスクの範囲(どのサービスまで触るか)を設定で制限し、不審なリクエストはログに残してブロックすること。MACGPU 上で OpenClaw を動かす場合は、VPC やファイアウォールでブリッジサーバー以外からの直アクセスを抑止し、必要に応じて VPN 経由に限定する構成も有効です。
08_まとめ
WhatsApp・Telegram・Slack から OpenClaw をリモート起動し、タスクを発行する開発ワークフローでは、各プラットフォーム用の Bot またはアプリを用意し、着信をブリッジサーバーで受け取り、OpenClaw の API または CLI に転送する形が基本です。Telegram は手軽に始められ、Slack は Workflow Builder や Event Subscriptions で柔軟に連携でき、WhatsApp は Business API の準備が必要です。50+ サービス連携を活かすことで、メッセージ一つでカレンダー・メール・CI などを駆動する体験を構築できます。認証・署名検証・最小権限の適用を忘れず、MACGPU の M4 ノードで 24/7 稼働させる構成とあわせて、リモート開発ワークフローを整備することをお勧めいたします。